「仮想通貨・ブロックチェーンフォーラム2018」速報レポート その3

投稿者: | 2018年5月13日
ぱっと読むまとめ

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2018年5月11日。神田ベルサールにて「仮想通貨・ブロックチェーンフォーラム2018」が行われた。あまり告知をしていなかったとのことだが700名を超える参加者が押し寄せ、会場は熱気に包まれた。この分野の関心の高さを示すものである。

会場内ではスライドの写真撮影や録音、録画は禁止されていたが、数々の貴重な登壇者の”いま”を読者のみなさんにお伝えしたく、速記をしたものを何回かに分けて公開したい。仮想通貨交換事業者が、ICOを利用したいベンチャーが、そして政府が、一体何を考え今後どうしていきたいのか。それぞれのポジショニングと考え、そして一体となってどこに向かうべきなのかを垣間見ることができると思う。

なお、公演の中で「ビットコインとは」や「ブロックチェーンとは」など、一般論についても言及が見られたが、それらについては”彼らがいま何を考えているか”とはあまり関係ないので割愛した。

今回のレポートはその1その2の続きとなります。

講演 リミックスポイント 小田玄紀様

本日は日本におけるICOの必要性と可能性、そしていま求められるICOのあり方について述べたいと思います。

まずリミックスポイントという会社ですが、本年2月に発表した内容では売上133億円、経常利益は31億円という結果でした。始めた頃はこんなことをして本当に儲かるのか、という感じだったのですが今ではほとんど金融カテゴリから稼いでいる状態です。

リミックスポイントの子会社、Bit Pointは仮想通貨交換業を行なっています。そこでは私たち独自の考え方や主張があるのでそれを発表したいと思います。

まず独自のウォレット管理手法を採用しています。これをウォームウォレットと呼んでいます。昨今色々な事件が起き、ホットウォレットは悪だ、コールドウォレットにするべきだ、という意見が聞こえてきます。しかしそれぞれ一長一短あり、また仕組み的にもどちらかに100%寄せるということはできません。私たちはコールドウォレットの良いところとホットウォレットの良いところを合わせたモデルが最適解なのではと考えており、そのような構築を行なっています。

また、Bit Pointは仮想通貨交換、投資プラットフォームだけでなく、仮想通貨の決済・送金も幅広く展開していく予定です。お客様が仮想通貨で支払ったものは即座に日本円に変えて、店舗に振り込む。そのようなことを拡大して参りたいと考えております。LCCのpeachとの連携は、ちょっと時間がかかっておりますが、年内を目指して提携していきます。

次にICO市場の現状を見てみたいと思います。
ICOとIPO、そしてクラウドファンディングを比較しますと、ICOはスピードが早い、調達資金も大きい。そして経営権も守られるという良い事尽くしのように見えます。しかし一つだけ、そして決定的な問題がある。それは投資家保護の観点です。

ICOの規模は年々大きくなってきています。2017年で6,000億円(註:レートによって変動します)集まった。2018年は4月時点で既に8,000億円集まっている。ICOで集まってるのはアメリカが一番多いようです。代表的なものとしてはTelegram,dragon,huobi,EOS,hdac,Filecoin, Tezos, Patagom, The DAOなどがあります。

次に、日本におけるICOの必要性・可能性について。
昨年、仮想通貨の分野に於いて日本が非常に注目されていました。しかし規制などが色々出来てしまい、2018年はあまり注目されなくなった。日本が仮想通貨で世界の中心になれるように引き続き頑張っていきたい。

そのような中で、問題が多いと言われいているICOについても、積極的に活用し、環境を整備し、日本がイニシアチブを取っていくべきだと考えています。

まず良いICOの定義を時価総額などではなく、社会的価値として再評価するべきであると考えている。そのあたりのマインドセットを変えていく。調達金額ではなく社会的価値。調達額は多い方がいい、ではなく小さく産んで大きくする。トークンの価値は多機能多用途、ではなく特定用途で利用価値が高いなど。Bit Pointではそのようなマインドで積極的にICOを応援していきたい。

その際の審査ポイントとしては

  • ビジネスモデルは新しさがあるのか
  • 価値があるか継続性があるか
  • 成長性があるか
  • そのチームはビジネスを実現できる経験・基盤を持っているか
  • 発行体がプロジェクトの進捗状況や財務状況を適切に開示できるか
  • ホワイトペーパーが正確にかかれているか。また分かりやすいか
  • トークンの価値に合理的根拠があるのか
  • KYCやAMLに対する考え方は適正か
  • 販売対象者は適正か
  • 法律や税務に対する考え方は適正か
  • 調達する金額は適正か
  • 資金使途明確か
  • 必要以上の資金調達になっていないか
  • なぜICOである必要があるのか

というようなことを考えています。

これまで様々なICOの相談がありました。ビットポイントはプロセスを明確化し進めようとしています。仮想通貨交換業者が一定の責任と監視義務をもち、適切なICOが日本で誕生できるように発行体の支援およびICO管理体制を構築するべきであると考えています。例えば販売に置ける責任は、交換業者が主体的に行う。トークン取り扱いにおける責任も主体的に行う。適切な開示における責任も業者も一定の義務を負う。その他資金用途やコンプライアンスに関する責任も、交換業者が一定の責任をもち、発行体と共により良いICOを目指して共に進んでいくべきだと考えています。

 


筆者余談

仮想通貨交換業者という立場として、まず自社のセキュリティについて言及。その際、小田氏はBit point Japanのセキュリティについては絶対の自信を持っており「コールドウォレットを各人が管理するのはCC的な攻撃から身を守る一つの策ではあるが、一方で秘密鍵の漏洩・紛失など別のリスクも存在する。それであれば信頼できる取引所に預けた方が良い。ぜひBit Pointへ」という持論を展開するに至った。この自信はCTO原田氏(元楽天CTO)の技術力の存在が大きいのだろうと思われる。

また昨今の詐欺的ICOの横行と相談件数の増加に伴い、どうしてもICOに逆風が吹くなか「取引所として積極的に関与していきたい」という前向きな発言がみられた。日本が世界で負けないイノベーションを起こすために、イノベーションを起こすベンチャーを応援するために、ベンチャーの資金調達がICOがベストであれば、それを実現するために。そのために仮想通貨交換業の正式な指定をもらっているBit Point社が主体的に関与し、成功をおさめたい。自ら自主的にフローやレギュレーションを作り、発行体と共にリスクを共有しゴールまで進みたい、という気概を感じることができた。

デザインの悪さゆえに、これまで使う気が全くおきなかったBit point。しかしこの小田氏の気概を応援すべく、ちょっと使ってみようかなという気になりました。

他の公演内容も随時出していきます。お楽しみに。

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