「仮想通貨・ブロックチェーンフォーラム2018」速報レポート その1

投稿者: | 2018年5月11日
ぱっと読むまとめ

ぱっと読むまとめ

2018年5月11日。神田ベルサールにて「仮想通貨・ブロックチェーンフォーラム2018」が行われた。あまり告知をしていなかったとのことだが700名を超える参加者が押し寄せ、会場は熱気に包まれた。この分野の関心の高さを示すものである。

会場内ではスライドの写真撮影や録音、録画は禁止されていたが、数々の貴重な登壇者の”いま”を読者のみなさんにお伝えしたく、速記をしたものを何回かに分けて公開したい。仮想通貨交換事業者が、ICOを利用したいベンチャーが、そして政府が、一体何を考え今後どうしていきたいのか。それぞれのポジショニングと考え、そして一体となってどこに向かうべきなのかを垣間見ることができると思う。

なお、公演の中で「ビットコインとは」や「ブロックチェーンとは」など、一般論についても言及が見られたが、それらについては”彼らがいま何を考えているか”とはあまり関係ないので割愛した。

 

はじめに・内閣府大臣政務官 村井英樹様

フィンテック分野は発展しているが新しい技術にはリスクがある。
問題解決のためにはその技術と可能性とリスクについて深い理解が必要である。ここでは政府としての取り組みを紹介したいと思います。
まず、未来投資戦略2017というものをかかげ、IOT・ビッグデータ・AIなど新しい分野で、イノベーションによりsociety5.0を実現したいと考えています。フィンテックはその分野の一つとして位置付けています。

昨今、新しいプレイヤーによって資産管理・決済などが提供可能になりました。政府ではブロックチェーンによる分散型ネットワークの可能性も見据えて、環境整備をしていきたいと考えています。フィンテック実証実験ハブを行ったり、仮想通貨交換業者については登録制の導入をしたりしました。

サービスの実用化が急激に進められたとき、技術の本質を捉えたサービスの提供がおろそかになりがちです。それは将来的なユーザーリスク(コインチェック事案、マネロン、詐欺的ICO)になります。
今年、残念なことにコインチェック事案が発生しました。また、詐欺的ICOなどの相談件数が増えています。
この辺りはイノベーションとリスクのバランスが重要です。政府としては登録審査やモニタリングに取り組んでいきます。また、金融グローバルかの対応が必要。各国当局との連携・協調が重要です。その点については、今年3月にブロックチェーンラウンドテーブルを行なった。

革新的技術の適切な、活用による金融セクターの成長促進を応援していきたいと考えています。

基調講演・株式会社bitFlyer 加納裕三様

本日はJBA(一般社団法人 日本ブロックチェーン協会)と仮想通貨、またICO関連について話をしたいと思います。

JBAについて。4年くらい行っています。もともとは仮想通貨という言葉は無く、価値記録と読んでいた。バリューレコード。仮想通貨法という法律ができ、そこから仮想通貨という名前を正式に使うようになりました。JBAはもともと認定協会を目指していた。自主規制団体が必要だと考えていたのです。現在は振興協会のようになっている。事業内容としては社会インフラへの応用や政策提言、国内でのPRや海外との事業団体との情報交換など。自主規制は新団体の方に移管されていく予定です。
自主規制案としては利用者管理に関する規制やインサイダーや詐欺的なものの防止です。

政策提言は中心的にやっています。日本をより良い国にしたいと考えています。グローバルではISOで議論され、正式なブロックチェーンの定義ができる予定。これはまだまだ時間がかかりそうですね。何がブロックチェーンで何がDLT(分散台帳技術)なのかなど、線引きが難しいところが多々あります。

仮想通貨関連について。まず、なぜ仮想通貨と呼んでいるのか。それは前述の通り法律に書いてあるからである。暗号通貨とか暗号価値とか色々あるが、日本は仮想通貨で統一している。
中央が存在せずとも、送ったり受け取ったりできることがすごいですね。一方で通貨と呼ぶならボラティリティが激しすぎるという批判もあります。決済では使いにくいという指摘も。

以前はキプロスショックが発生した。数円のものが2万円くらいに跳ね上がったのです。その当時これは「バブルだ」と言われていました。しかし、その後もそのようなことを繰り返していますね。

ビットコインと電子マネーの違うところは、発行体がない、また二方向であるところです。
また、ビットコインによって新たな取引が実現されているだろうと言われています。まず1円以下の少額決済が可能。そして国境を超えた募金、友人との即時の割り勘。コンサートでの投げ銭。デジタルコンテンツへの部分課金なども。少額から利用可能で、グローバルで利用でき、極めて低い手数料で決済の迅速性が特徴です。一方マネロンされないようにどうするのかなどが課題。資産移動の追跡は可能です。しかし誰が持っているのかまでは分からない。なので、取引所ベースで対応する必要があると考えています。

リスクは色々とある。価格変動リスク。流動性リスク。ネットワークリスク。取引所の営業時間リスク。取引所システムリスク。取引所の手数料・費用変更リスク・取引所破綻リスク、法令・税制変更リスク。ログイン情報漏洩・ハッキングリスク。仮想通貨特有のリスクとしては秘密鍵紛失リスクが挙げられる。
取引所が信用できなければ自分のウォレットに入れれば良い。しかし自分で秘密鍵を管理しなければいけないので、それはそれで大変です。トレードオフですね。

仮想通貨交換業社が実施しているセキュリティ施策とは、セキュリティ対策室の設置。環境整備はコールドウォレット、マルチシグ、生体認証やトランザクション移動用専用デバイスの離床。ホットウォレットの比率を最小化すること。利用者のみなさんに覚えていただきたいのは、他のサービスと同じパスワードを使うのは絶対にダメ。二段階認証のメールがハッキングされたりもする。

また、外部サービスの活用としてはペネトレーションテスト。脆弱性チェックの実施。ログのモニタリング調査の実施、IPSの採用など。レピュテーョンシステムによる不正アクセスのフィルタリングも行っている。

コールドウォレット・コールドストレージにも取り組んでいる。物理的な保管に気をつける必要がある。最終的にはインターネットに繋がないと使えないので、コールドウォレットをホットウォレットに繋ぐ必要はあるので、その手順の整備。また安全な状態でインターネットに持っていくなど。また、マルチシグも複数の署名がないとビットコインが送れないようにする。二段階認証の推奨、IPアドレスの制限、ログイン履歴の管理なども。保険もあります。

最後にICO関連。定義にもよりますが最初はICOはオーバーストックという会社がやったと記憶しています。定義によってはもっと前からあったが。今や金額的にはICOがVCを大幅に上回る状態である。毎日何通もICOさせろというオファーが来るが全部断っている状態。調達ランキングで上位に上がってくるのはpetro, eos , telegram , dragon, huobi, hdac, filecoinあたりですね。

テレブラムは十分な資金を調達できたのでパブリックセールはおわったほど人気でした。filecoinはおもしろい。余剰のディスクスペースを貸し出すことができる。

ICOビジネス研究会がレポートを出しています。ネット上にあるのでぜひ読んでみてください。賛否両論のなかで制度などを議論しています。ICOを肯定するわけでもなく、否定するでもなく、状況を整理している段階です。。
ICOの税率の論点も必要。100億調達したらそのうち数十億円が法人税が取られるのか、どうなのか。

その辺りは全く未整備である。

他のかたの公演内容も随時出していきます。お楽しみに。

 

ぱっと読むまとめ

「仮想通貨・ブロックチェーンフォーラム2018」速報レポート その1」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 「仮想通貨・ブロックチェーンフォーラム2018」速報レポート その2 - The BLOCKY

  2. ピンバック: 「仮想通貨・ブロックチェーンフォーラム2018」速報レポート その3 - The BLOCKY

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA